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登場人物四方山話(1)

整理ミス、入力ミスなど、多少正確性に欠けるきらいはありますが、精度95%程度を前提として、藤沢周平作品に登場する人物名を整理した結果の余談です。個人情報の漏洩になるかもしれませんが(笑)イメージ程度としてご理解ください。
尚、整理基準でも書いていますが、喜多川歌麿女絵草子、春秋山伏記、立花登鑑シリーズ、出会い茶屋、彫師伊之助シリーズ、三屋清左衛門残日録、用心棒シリーズ、よろずや平四郎活人剣の中で、複数作品に登場する人物はそれぞれ一名としています。

男女・身分別の人数

町人か武家か、判断に迷うケースもありますが、下記のようになりました。一つの目安としてご理解ください。

  町 人 武 家 その他  計 
1580 1925 77 3582
808 306 12 1126
2388 2231 89 4708

その外に猫・犬各一匹、馬一頭を合わせますと合計4711名となります。

上記で言うその他とは、医者、僧侶、山伏、尼僧等です。町人、武家いずれになるのか知識がありませんので、その他としました。名字帯刀を許された商人も存在しますが、これらは町人としています。

創作された固有人名の数

総登場人物凡そ4700名余り。当然のことながら、同じ名前の人物名が幾つかの作品に登場しています。最も多いのが「はつ」で作品数20に登場しています。それでは同一の文字の人物を一人と数えた場合、どのくらいの固有人物名数を創られたのか、些か抵抗がありましたが、整理してみました。その結果は以下の通りです。

  町 人 武 家 その他  計 
754 1840 77 2671
260 200 12 472
1014 2040 89 3143

作家活動凡そ20年余り。なんと、3100名以上のユニークな姓名を創作されていました。特に武家の男子にいたっては、総登場人物数に対してほとんど同数に近い人数を創作しています。4700余に対して3100以上の固有の人物名が存在する訳です。なんと重複率?(一人当たりが重複して登場する率)が1.5弱という結果です。流石に町人の女子などは同じ名前の人物がかなりの作品に登場はしていますが、これは当たり前でしょう。

一作品のみに登場する人名数

全作品中、他の作品には登場しない人名、すなわち一作品だけしか登場しない人物名の数は以下の通です。

  町 人 武 家 その他  計 
435 1786 74 2295
99 158 10 267
534 1944 84 2562

凡そ3100名以上の名前を創作しておりますが、なんと2560名余りが1作品のみにしか登場していません。男子武家にいたっては1839名の名前を創作し、その内1785名が一度しか登場しない(ユニーク率93%弱)という凄さです。男子の武家で重複登場する人名数は僅か54名平均登場回数2.5回でした。
尚、男子武家の名前で重複しているケースは、藩主名(右京太夫など)や、苗字のみで登場する軽い役割の武家(田村、樋口、山崎など)であり、ほとんどの名前が一作品でしか使われていません。これは本当に驚きです。

存在しない五十音

漏れがあるかもしれませんが、読み方の最初の発音で『』で始まる登場人物名は、全く存在していません。たしかに『め』で始まる苗字は、『目黒』『銘刈』等、実在数も余り思い浮かびませんが・・・。

特に印象的な名前の人物

名作『蝉しぐれ』で、途中とそして最後に重要人物で登場する「三宅藤右衛門」。藤沢さんはこの名前が気に入っておられたように勝手に思っています。(勝手な推測)この名前は最も登場回数が多く、それぞれ個性を持った人物として4作品に登場していますが、本当に珍しいことです。どんな作品かは五十音順のをご覧ください。

同心「笠戸孫十郎」その父「笠戸倉右衛門」孫十郎の妻「保乃」の三人は、『霜の朝』の「密告」、『花のあと』の「疑惑」の二作品に登場しています。二つの作品とも、笠戸孫十郎は定回り同心役で同一人物と思われますが、単行本、作品名も全く異なりますので、重複掲載をしています。単行本作品内容の中で少々書きましたが、同心が主人公の『捕物シリーズ』を考えておられたのではないか、そしてそれが『出会い茶屋』に変化したのではないか、そんな思いをしています。

登場人物四方山話2

 

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