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      3 位置推測に関するその他の記述

     前回迄は、邪馬台国に至るための、行程に関する記述について、専門家の考え方を説明して参りました。本章では、魏志倭人伝に記述されているその他、位置を推定する際に参考となる幾つかの記述に関して説明を致します。(ここでは考古学的見地からの記述については触れません。これらは4章以降とします)

       参考となる記述項目

     参考になると思われる記述も、おおまかに分けると、「方角と距離」に関するもの「国の戸数」に関する記述に成ります。どんな記述が参考となるか、人によって多少異なりますが、一般的に議論の対象となっている項目を以下に列挙します。なお文章は通常訳されている現代文とします。

      @ 倭人は帯方(朝鮮半島又はソウル近辺)の東南大海の中に在り

      A 韓国をへて其の北岸の狗邪韓国(くやかんこく)至る。

      B 女王国以北は戸数、道里を略載できるが、其の余の旁国は遠絶詳らかに出来ず

      C Bに続いて21カ国の国名を列挙し、女王の境界の尽きる所なり

      D 其の南に狗奴国(くなこく)有り、男子を王と為す、女王国に属さない

      E 其の道を計に当(まさに)会稽・東冶(治)の東に在り

      F 女王国より以北には特に一大率を置き諸国を検察する

      G 女王国の東、海を渡ること千里に国あり皆倭種である

      H 又侏儒国其の南にあり、女王を去ること四千里

      I 裸国、黒歯国有り、東南船行一年で至る

      J 参問するに、倭の地は海中洲島の上で、周旋すること五千里ばかり

      K 行程記述の特徴的な書き方

         『又』の字の有無
         『自然描写』の有無
         『官名』記述の有無
         『移動手段』記述の有無

      L 邪馬台国に至る迄の各国単位の戸数記述

          対海国(対馬?つまこく)  千戸余
          一大国(一支?いきこく)  戸数三千許
          末盧国(まつらこく)    四千余戸
          伊都国(いとこく)     千余戸
          奴国(なこく)百里     二万余戸
          不弥国(ふみこく)     千余戸
          投馬国(とまこく)     五万余戸
          邪馬壹国(やまたいこく)  七万余戸
     
     邪馬台国の位置を特定しようとして、参考になると思われる記述は凡そ以上です。中には極めて注目すべき記述もあります。しかしこれらも結果的には参考となる程度で、どうも決定打とはなっていません。以下専門家の解釈を簡単に説明して行きますが、かなり議論の対象になっている項目もあれば、一方大した話題になっていない項目もあります。同時に直接的に位置関係に関連しない項目もあります。したがってまさしく参考程度です。
           



     次回からこれらの記述をある程度まとめてお話をしてゆきます。
             今宵はこの辺で・・   


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