滋賀県にお住まいの衣斐○弘さんという藤沢作品ファンの方から、『「たーさんの部屋」の単行本刊行リストには1985年8月東京文藝社から出版されている「潮田伝五郎置文」が載っていません。またその旨の注意書きもありません。たーさんのひまな時で結構ですので、お教え下さい』。というご意見がありました。
私もその存在を全く知りませんでした。あらためて講談社文庫の巻末に掲載されている「年譜」を精査してみると確かに存在している様子。更に朝日週刊ビジュアル「藤沢周平の世界全30冊」の第1回分の綴じ込み別冊の「藤沢周平作品単行本全装幀」は全ての単行本の表紙が掲載されていますが、17ページに表紙写真も掲載されていました。(衣斐○弘さんはここから見つけられたようです)
早速調査をしてみましたが手掛かりがなかなか無く、最終的には『とにかく藤沢作品に詳しい方』のご協力を頂きその存在が明らかとなりました。確かに存在しています。この単行本は改版を重ね、結果的に以下の3冊が存在しています。そして3冊ともそれぞれ別の美しい表紙です。是非手元に置いておきたい本ですが、現在は絶版と思われます。古本屋を漁るしかないようです。
単行本『潮田伝五郎置文』
| 出版社 | 版 | 発行年月日 | 価格 |
| 東京文藝社 | 初版 | 1985年10月 | ¥1000 |
| 東京文藝社 | 新装版 | 1989年08月 | ¥1000 |
| 光風社出版 | 新装版 | 1991年08月 | ¥1100 |
編纂されている作品
| 作品名 | 初出 | 既存単行本名 | 出版社 | 出版年 |
| 潮田伝五郎置文 | 小説現代 | 冤罪 | 青樹社 | 76年 |
| 鱗雲 | 週刊小説 | 時雨のあと | 立風書房 | 76年 |
| 拐し | 問題小説 | 神隠し | 青樹社 | 79年 |
| 泣かない女 | 問題小説 | 驟り雨 | 青樹社 | 80年 |
| 山桜 | 小説宝石 | 時雨みち | 青樹社 | 81年 |
| 裏切り | 小説現代 | 夜の橋 | 中央公論 | 81年 |
| 暗い鏡 | 小説現代 | 夜の橋 | 中央公論 | 81年 |
| 帰って来た女 | 小説宝石 | 龍を見た男 | 青樹社 | 83年 |
| 二天の窟 | 小説現代 | 決闘の辻 | 講談社 | 85年 |
上表のように合計9作品が編纂されていますが、かなり以前に単行本として刊行された作品もあれば、『二天の窟』のように直前に単行本として刊行された作品も含まれています。このように既に単行本として刊行されている作品の中から、あらためて選択し、新しい単行本として東京文藝社から出版された理由は分かりません。又出版社が91年8月に光風社出版に替わった理由も定かではありません。(それなりの推測は出来ますが、確実な裏付けがとれませんでした)
又、講談社文庫(決闘の辻等)に編纂されている著者自筆の年譜を細かく精査してみると、更に下記の単行本??が存在していると思われますが、掲載作品などの詳細は解りません。(調査もしていません)
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昭和60年(1985年) 埼玉福祉会 『暗殺の年輪』 『暝い海』の二冊 |
1985年は以上のように重複出版された本が3冊存在する珍しい年です。勿論その訳などわかるはずもありません。尚朝日週刊ビジュアルに掲載されている表紙(潮田伝五郎置文)の写真は、正確には3冊目の、1991年8月の光風社出版のものと思われます。したがって説明文は誤植と思われます。(細かいことをごめんなさい)出来ればこのホームページで、3冊の表紙を掲載すべきですが、著作権上の問題を考慮して掲載はいたしません。ご理解ください。(本の表紙を画像で無断で掲載することは、著作権違反と私は考えています)
又上記のケースとはやや異なりますが、単行本で刊行されている作品からあらたに選択され、出版されている本に「藤沢周平短編傑作選」(1981年)として、タイトル名[臍曲がり新左・父と呼べ・冬の潮]の3冊(文藝春秋)が存在することはご存知の方が多いと思われますが、あえて書き添えます。
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